麻婆春雨豆腐
今日の晩御飯だったもの。昨日見たCMで、お相撲さんがめっちゃうまそうに麻婆春雨食ってんの見たら食いたくなった。
なんか寂しいなと思って豆腐いれてみた。麻婆春雨豆腐。豆腐に対しては少し味付けが薄かったようだ。
私が1から10まで料理するのはアナゴくん宅のみでである。
実家暮らし、おーいえー。
アナゴくんとの馴れ初めでも喋ろう。
アナゴくんと私は同じ職場である。現在、部署?は違うんだが。奴は社員、私は派遣パート。
去年の夏頃、奴が私のいる部署に入ってきた。
今思い返す奴の第一印象は本当にそのとき思ったことなのか、はたまた後に捏造したものか定かではないが、優しそうな人だなぁと思った。
特別に話が合う気が合う等なく、ただの同じ職場の人であった。意識し始めるキッカケが起こるまでの約数ヶ月余り、雑談を交わしたことも多分あるんだろうが、記憶にない。
奴と出会って数ヶ月後、職場の飲み会があった。
飲み会自体も久々で、それはもう大いに楽しんだ。大いに飲んで騒ぎ、色んな人に絡みに行き誰かが歌ってるときに乱入し。
気付けば、泥酔状態。
二次会に行こうかと周りがざわつき出したときには、もはや座位すら保つことができなかった。女性社員さんに抱きついては引きはがされ抱きついては引きはがされを繰り返していた。
おいどうすんだよコイツと上司含めた皆が、仰向けに倒れエヘエヘ笑ってる私を囲んでいるときに現れたのが、アナゴくんだった。
ありがちな話で、要は介抱された訳だ。
しかしその後の私の行いと言ったら。ちょっと汚いオチが待ってるのでお食事中の方はご注意ください。下ネタではないよ!
アナゴくんに引きずられ靴置き場まで連れていかれたのだが、私の靴が見つからない。
靴がない!靴がない!と大騒ぎ。ここで固まってたら邪魔だ、他の人が靴探すからとりあえずタクシーまで行けと、上司に命じられたアナゴくんが背中を向ける。おぶされと。
標準より大層重たい私を?!ここで少しずつ意識が覚醒し始める。
仕方無しにおぶさる。しかしまだ酔っ払った状態だったので、掴まったアナゴくんの首を絞めまくるわ上手いことしがみつけないわ。
可哀想にフラフラしながらタクシーまで辿り着く。そこで靴あったよと、知らないお兄さんに靴をはかせてもらった。
何から何まで、いやぁ大変申し訳ない。
タクシーに乗り込むも、もう大丈夫だという私の言葉は聞き入れてもらえない。アナゴくんが家まで送ってくれることになった。後部座席にふたり並んで乗り込む。
とりあえず道案内は何とか出来た。が、それも途中まで。
吐き気が襲ってきたのである。やばい、これはやばい。
横になっていいですよとアナゴくんが言うので、すまんありがとう、と特に何も考えず当たり前のようにアナゴくんの膝枕で横になる。
しかし、勿論吐き気は収まらない。
いよいよ我慢の限界がきた。ごめん車止めて、と低い声で呻く。
アナゴくんに支えられ車を降りる。さっさとアナゴくんから離れ、こっち来んな!そこにいろ!と後方に足止めしたところで、マーライオン。
出るわ出るわ、それはもう。こんなに飲んだかというほど。
ひとしきり出し終えて、何も拭くものを持ってないことに気付く。ハンカチ?ティッシュ?タオル?携帯するのはちゃんとした女性だけだと思ってた。
どうしようと言ってたら、これで拭いてくださいとアナゴくんが何かを差し出す。タオルとか持ってんだ気が利くなぁとゴシゴシ口元を拭いて気付いた。これ、あんたこれ、制服のポロシャツやん。
暑いからと重ね着してた分をわざわざ。なんてこった。しかし拭いてしまったものは仕方ない。謝りつつ、それを口元に押し当てたまま車に戻る。
再び走り出した車内では膝枕である。ちゃっかりしている。
これで一安心、と思ったのも束の間。第二波がやってきた。
冗談きついぜ!と半分笑いがこみ上げつつ、またしても停車を要求。
しかも第二波は、第一波の余韻だったせいか車を降りてすぐさま出てきた。おかげで一緒に降りたアナゴくんを足止めする余裕もなく、肩を借りたまま目の前でマーライオンする羽目に。
情けないやら申し訳ないやら気持ち悪いやら、もうとにかく早く家に帰りたかった。気合で三波は乗り切って、家に到着。玄関先まで送り届けてくれたアナゴくん。
ごめんねごめんねと謝り続ける私に『気にしてないので、来週も元気に仕事きてくださいね。じゃないと自分が何かしたんじゃないかと疑われますんで』的なことを、ふらふらする私の肩をしっかり両手で握って言ってくれた。
因みにゲロまみれのポロシャツは洗って返すと言ったのに、大丈夫ですと渡してくれなかった。
以上が仲良くなるキッカケであった。長々と読んで頂きありがとうございます。
この飲み会の直前くらいに、アナゴくんは部署が変わってしまって接する機会は減っていたのだが、このゲロ事件以降、こいつに対して最早何も恥ずかしくねぇなとなってしまった私は、もう友達の感覚で見かけたら話しかけるようになった。
アナゴくんは私の1つ下で、年下だからという点もよりフランクになった要因である。
アナゴくんサイドとしては、単純に、女性への免疫があまりなかったこと。実家から遠く友達も知り合いもいない土地で一人暮らししていたこと(友達は元から居なかったらしいが)。そんな家から職場への往復する日々の中で起こった衝撃的な出来事、からのやたらフランクに接してきた私に、恐らく奴の気持ちが傾いたものと推測する。
後から聞けば、酔っ払いの介抱はよくしていて、目の前で吐かれるのも慣れっこであったらしい。
まぁ、おんぶやら膝枕やら、思い返せばそんな密着やってれば意識しない方があれなんだろうが。
でも、目の前でゲロ吐かれたらさすがにないよなぁと思う。
奇特ながら、良い人に出会えたことに心から感謝している。